2026年8月27日 | 撮影・式典・イベントの発注ご担当者へ
段取りが崩れた日に、現場はどう動くか|交通が乱れた、ある夏祭りの本番から

発注のご担当者がいちばん恐れるのは、当日、想定どおりに進まないことだと思います。人は集まるのか。時間に間に合うのか。何かあったとき、現場は動けるのか。
この夏、その「想定どおりに進まない日」が、実際にありました。先日の「誰が現場に来るのか|着付け師の選ばれ方と、現場での振る舞い」で、臨機応変に動けることを人選の最優先にしている、とお伝えしました。それが現場でどう働くのか。ひとつの本番からお伝えします。
その日、電車が止まりました
弊社が毎年お手伝いしている、南越谷の阿波踊り大会。二日間にわたる、大きな催しです。
その日は、深夜に大きな地震がありました。朝、交通機関は大幅に乱れ、踊り手さんの多くが使う武蔵野線が止まっていました。「何時に、誰から、何人が来られるか」——着付けの段取りは、この前提の上に組まれています。その前提が、根元から崩れました。
崩れた前提を、その場で組み替える
着付けは、来ていただかないと始められません。到着が読めないとき、朝から組んだ順番は意味をなくします。しかも、電車が動き出せば、七十名の踊り手さんが一気に会場へ流れ込んでくる。
それを見越して、監督役の着付け師が動きます。ほかの現場から着付け師を急ぎ呼び寄せ、あるだけの衣装敷を床に敷き詰める。到着した方には、空いた衣装敷でご自分の衣装を広げ、できるところまでご自分で進めていただくよう誘導する。足のテーピングと足袋、半衿への衿芯通し——それだけで一人あたり数分の短縮になります。急いで駆けつけた着付け師も状況を理解して冷静で、粛々と着付けを始める。段取りが崩れても、仕上がりの時間だけは死守する。それが現場対応力です。
一人ひとりの着付け師が、自分の持ち場だけでなくその日の全体を見て動けること。急な増員に応じられる人数を、日ごろから抱えていること。この二つがそろって、はじめて崩れた日を吸収できます。体制の詳細は「着付け師は何名必要?|見積もりを取るときに、伝えるべき3つのこと」でお伝えしています。
舞台では、何事もなかったように
結果として、遅れは吸収できました。舞台の上では、連の皆さんが何事もなかったかのように踊っていました。
「時間内に、崩れない」の中身は、平常時の速さだけではありません。段取りが崩れた日に、それでも定刻に送り出せるか。現場の力がいちばん問われるのは、この局面です。
頼まれた範囲の、少し先まで
その日、会場には招待のお客様も来ていらっしゃいました。担当ではないご家族の着物が、少し着崩れているのに気づいた着付け師が、見かねてその場でお直しをしました。
頼まれた仕事ではありません。それでも、その日その会場を気持ちよく過ごしていただくところまでを、現場の役割だと考えています。着せて終わり、ではないということです。
まずは、現場のことをお聞かせください
どんな現場で、どなたに着せるのか。何が起きうるのか。それが分かれば、どういう体制でお出しするかまで含めてご提案します。「こういう現場だけど対応できる?」の段階で構いません。